第一回RHSJ

に行ってきました。

かの有名な英国王立園芸協会に日本支部(RHSJ)が出来たというのはもう何年か前から聞いていましたが、今回、そのRHSJから更に「九州地区ガーデニングサロン」なるものが出来るという話を耳にしました。幹事のはたさんからじきじきにご連絡いただいたにもかかわらず、開口一番「参加費2000円? 高いよー」(こいつは〜と思われたでしょうね、ゴメンナサイ)。実は私は会員じゃないのです。日本支部が出来たときにどうしようかと思ったのですが、一番最初に連絡を取った時の印象があまり芳しくなかったので以降、どうも敬遠してきたのです。それはさておき、この文化果つる場所福岡にもいよいよ、文明国らしいモノが誕生か? そう聞くとちょっとわくわくそわそわいたします。

会場は西南学院大学キャンパス内にある西南クロスプラザ。

なにそれ、そんな会場、知らんぞ。(大昔の卒業生)

ネットで見ると、かつて西南高校だった場所に新しい建物が出来ている。ふむふむ。

ともあれ、ウン十年ぶりの母校です。と言っても、自分たちが通ったのとは道を挟んで反対側の、禁断の地(旧男子校)。

百道浜方面から歩いていくと左手に門、そして歩哨ガードマンが立っている。

「ここ西南大ですか。何とかホールというところに行きたいんですが」

「クロスプラザならここから入っていって結構です。(ホールじゃなかった。)お出口は反対側から出てください。」

何だ、ここ入り口じゃなかったのか。道理で。見ると、向こうには人気がない兵舎のような建物群。何となく恐ろしげである。かと思ったら、すぐ目の前の二階建て建物のテラス部分に、一群の女性の群れが。あ、あの辺りのようです。

西新方面から歩くと道の右手にあります。
私はこの反対側から入りました。で、会場は二階。

建物に入り、すぐに階段を上がるとそこが会場でした。どの程度人が集まるのかと思っていたら、どうしてなかなかの賑わいです。それに会場の立派なこと。ちょっとした国際会議場のようです。入場者は圧倒的に女性の方が多く男性は少なめ。それにしても、花の飾り付け。セッティングも大変だったでしょう。

入り口の飾り付けは文句なしに素敵でした。
錆だらけのきったねー風雨にさらされ風格が出た椅子。
でも、ガーギーは鼻ほじってます。

じゃじゃーん、の吉谷さん講演会

さて、今回の目玉は吉谷桂子さんの講演です。実に2時間が取ってあり、これは幾ら何でも長いのではないかと思っておりました。ところが、お話は意外にも(失礼!)面白くて退屈しませんでした。ただし、デザイナーという話し手の性質上、いかに植物を育てるかではなく、いかに演出するかという内容でした。それはそれで興味深いものでした。「いかに演出するか」。これは日本の素人園芸史上、重要なテーマのひとつだと思うからです。いわゆる「ガーデニング・ブーム」が起こる以前の趣味園芸家は、植物を育てることばかりに重きをおき、折角見事に育てた植物をいかに美しく飾るかという点には殆ど注意を払っていなかったからです。しかしながらここでひとつ気になったことがあります。吉谷さんや、吉谷さんファンの人々に嫌われるのを承知で敢えて申しますと、それは、日本園芸の歴史として最も愛すべきトロ箱園芸文化を軽侮するような発言があったことです。吉谷さんが園芸家ではなくてデザイナーである以上(この表現に語弊があれば、園芸家であるよりもデザイナーである以上)、あくまでも見た目の良さを優先させることはやむをえないでしょう。しかしながら、園芸の基本はあくまでも生き物である植物と付き合うことです。「見た目だけを大事にして、植物を装飾品としか見ない」という昨今の一部の傾向は誠に憂えるべきことであると思うのです。昨今のガーデニング・ブームが生んだ「自称ガーデニング好き」の人々は、植物に対する常識的な知識や愛情を持たず、あくまでも装飾品として植物を見てきました。私が自分のサイトのキーワードとして「ガーデニングなんか大嫌い」と唱えるのはこういう現象に関してなのですが、それはちょっと脱線です。

話戻って、吉谷さんが面白いのは、この人の園芸に関する出発点にあります。日本では全く興味も知識もなかった園芸をイギリスで一から始め、帰国してからイギリスで覚えたことを日本の風土に合わせて応用していったと言うこと。これはなかなか画期的なことです。でも、イギリスの素人園芸家の殆どは日本と大差なしのの世界だと私は思います。イギリス人の趣味が良いってのは幻想だと思いますね、私は。

こんなもの履こうって人種が果たして趣味が良いと言えるのでしょうか? ホントに履いている人がいらっしゃったらゴメンナサイ…とは言いませんよ、私は。代わりに言ってやるから。「あんた変だ」って…。

写真のスライドが横向いたり上下逆だったりしたハプニングも面白かった。この脱力感が何とも言えません。後でスタッフが吉谷さんにどつかれなかったら良いのですが。まあ、こうした細かいことを気にしたりする方ではなさそうです。

休憩を挟んで第二部の交流会、ということで実は私はこちらの方に興味があってやってきたのでした。休憩時間を利用して吉谷さんのサイン会となり、行列が出来ておりました。廊下ではちゃっかり?本が売ってあったり、お買い求めになる方多数。

この時間に話題の「聖書植物園」を見ようかと思ったのですが、マップを見ると、随分広い範囲に点在しているようで、残りわずかな休憩時間での見学はあきらめました。まあ、次の機会に致しましょう。(自宅からバスで10分くらい)

会場外のデッキからの風景。道の反対側にある左の建物は本来の西南大の敷地。
中央にある高層集合住宅のある辺りは在学当時海だったのです。(大昔じゃのう)

こりゃ随分じゃないの、のデッキの鉢植え。

わーい、おやつタイムだガキかおのれは…

会場に戻ると、あ、お茶とお菓子がある。という訳で、頂くことにしました。レストランの支配人風のオジサンまでいらっしゃってなかなか贅沢なムードではありませんか。権威主義が嫌いな癖に俗物的なのです、私。世話焼きの女性もコムスメじゃないのが宜しい。だけど正直言ってコーヒー、紅茶、シュークリーム、残念ながら全部味はいまいち…。つーか、特に紅茶は壊滅的にまずかった。にもかかわらず暇だったのでお代わりし、挙句に残しました。しかしスタッフの石井さんお手製のクッキーはとってもおいしかったです。ドロップクッキーの粉は普通の小麦粉ではない。全粒粉? それともとうもろこし粉なのか? 聞けば良かった。

石井さんお手製のクッキー。

 

テールヴェルトというのは西南のスクールカラー「テレベルト・グリーン」(terre-verte green)くすんだ緑(テールヴェルト・グリーン)のことです。当時の学生は単に「みどりむし」と呼んでいました。こんなハイカラな名がついていたとは露知らず。で、意味は「自由」だそうです。これも知らなかった。
ちなみに福大のカラーは「小豆色」と呼んでいました。正しくは「臙脂色」ですと。

西南大オリジナルの菓子は…地元の菓子メーカー(如水庵)が作ったそうですが、何といいましょうね。パッケージは洒落ています。以上。しかし、私の在学当時、こんな菓子もなかったよ。食堂なんて兵舎か刑務所みたいだったしな。(←行ったことあるのかと言われると困るけれど、近所にある福岡拘置所で半日体験ツアーをやってくれないかなあといつも思っております。←お泊りはイヤです。)

第二部の交流会その他

さて、第二部です。ここで参加者はほぼ半分くらいに減っております。で、交流会となったわけですが、実を言うとこちらはもうひとつでした。「クラブ」ではなくてわざわざ「サロン」と命名した理由などを伺っていたので、その点期待していたのですが、うーんと、私が思うにこれは「クラブ」でも「サロン」でもなくて「コンフェレンス」つー感じでした。いまひとつ堅いのです。折角の集まりなのになかなか意見が出ません。で、最初の発言が「会員でもないのですが」と前置きして始めた韓国男性であったと言うの一層うーむという感じでした。非会員で、しかも外国人で、更に最初に意見を述べたこの人は偉い。概して日本人は自分から意見を述べるのが苦手。人のことばかり言いますが、私も一旦しゃべりだすとうるさい方だけれど切っ掛けがないと話をするのが苦手で、出来たら穴掘ってこもっていたいほうです。それでも司会のはたさんと幹事の皆さんの進行で、徐々にリラックスモードになり、あちこちから発言が聞かれるようになってきたところで、もう終了の時間です。予定時間を大幅に過ぎて散会となりました。

(右は演壇横の花飾り。撤収直前に撮ったので、写真撮影の人のお手手が…。)

終了後、会場の机を並べ替えている人を見て思ったのですが、第一部はともかく、第二部の時は机を対面式に(出来たら円卓状に)並べ替えておいたほうが良かったのではないでしょうか。そのほうが最初からムードがやわらかくなったのではないかと思いました。司会と参加者のみが向かい合った形(教室型)の配置では、心理的に「話し手」と「聞き手」という形に分かれてしまうものです。自分から進んで発言することを差し出がましいものとして嫌う日本人には、このような机の配置が無言の圧力になるのではないでしょうか。(一部のような講演の時にはこの方が有効ですが。)

ちょっと残念だったのは、折角の交流会のはずなのに、会員の横顔が全然見えなかったことです。今回私が参加した主な目的は、「福岡地区にどのような人たちがいるか」ということを知りたかったのに、その機会は得られませんでした。もっと積極的に周囲の人に話し掛け、お友達を作るようにすればよかったのかも知れませんが、どうも私はそう言うのは苦手なのです。というより、2、3人のグループ参加が多かったようで、ひとりでやってきたものはなかなか周囲に話し掛けづらい。たとえば。あの場にいた人数を数人ずつのグループ分けして座談会するなりしたら、お互いに良く知り合えたのに、と思いました。そうです、私が今一番欲しているのは福岡地区の横つながりのグループなのです。

北九州地区は、あれほど優れたメンバーがあり、グループ網があるのに、福岡地区にはこうした横つながりの組織が全く存在しないのです。私はここ数年来、北九州の組織をうらやましいと思い、福岡にもこうしたグループが出来ないものかと思い続けてきました。まあ、うらやましがってばかりいても何も始まらない訳で、行動を開始することが大事なのです。私もぶつぶつ言ってばかりいないで、ともかく行動開始すべきなのでしょう。でもどこに向かって? それが問題です。

散会後、直ちに会場の撤収です。そのときになって初めて、今回の為にいかに大掛かりに設営されていたかということに気づきました。お花も、鉢植えも、会場の備品ではなかったのね。(当たり前か)走り回るスタッフの皆様を見ながら、ろくに(というより全く)挨拶もせずに(フランス式いとまごいと言う)失礼してしまいましたが、皆様本当にお疲れ様でした。

撤収も大変です。演台の背後には恐ろしい死の罠が…
(マジです。落とし穴としか思えぬ危険な穴アリ。)

RHSもなかなか面白そう。入りませんかと幾度もお誘いを受けましたが、でも会費が高いなあ。(年会費1万6000円!)ナショナルトラストに2年分入れるじゃないの(会費切れちゃったので次の渡英の前に払わなくちゃ。)で、イングリッシュ・ヘリテージも入った方が良いかと検討しているところなので、もう少し考えます。

※結局、ナショナルトラストに入りました。

帰り際に見つけたドージャー(学院の創立者)記念館。新築かと思えば1920年の建築。ジョージアン・コロニアル様式とというからにはジョージ王朝風植民地様式ということでしょう。本物のジョージアンよりまる200年遅れています。
在学時は幾度も通った道ですが、まさかこんなものがあったとは…。なんせ禁断の男子の園でしたのでね、ここは。

おまけというより蛇足
独断と偏見による「クラブ」と「サロン」の違い。

(下記の記述はあくまで私の独断と偏見と思い込みであり、その実態とは全く関係ないと思われます。)

クラブ 紳士階級が飲み物や葉巻を片手にのんびりと読書する書斎のようなイメージがある。会費が高く、入会資格も厳しい。何代以上続いた名門に限るとか、成金は駄目とか、ユダヤ人は駄目とか。封建的で閉鎖的。独身者の城。

サロン フランスの女性部屋(売春宿にあらず、上流女性の居室のこと)というか、女性が主人役、男性は客役で、家庭的な居心地の良さ。快適で、既成の価値観にとらわれず、進歩的。革命的。無政府主義者の温床。宮廷風恋愛。恋愛遊戯。

で…博物学的な書斎に憧れる独身者の青くんは俄然「クラブ」の方に篭りたいのだった。煙草嫌いなのに。(←一体何が言いたいのだ、こいつは…)

この「篭る」という癖自体、ワタクシが行動開始に向かないということを証明しているように思えます。

蛇足ついでにこの日一番気に入ったもの。撫で繰り回して帰りました。

 

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