6月の詩
2001年6月
写真はドイツ北部、ハルツ山間の町ゴスラー
赤いブナの 若木が たっていた
ぼくの 初恋のときに
ぼくが はじめて うたをかいたときに
若木はみていた ぼくがなにをかくか
赤いブナほど 春の花のなかで
贅をつくす 木は ない
これほど 多彩な 夏の夢をみて
これほど いちはやく 枯れしぼむ木もない
赤いブナの 若木が たっている
ぼくのみる 夢という夢に
過ぎ去った 五月が 木々のなかで
ぼくの好きなこの木にそよぐ
旺文社文庫 「ヘッセ詩集」 植村敏夫 訳
「赤いブナ」