3月の詩

2001年3月

 

 

写真はドイツ南部の古都ハイデルベルク。ネッカー川対岸の「哲学者の小道」から旧市街を望む。

 

みどりが 流れる 傾斜に

はや スミレの青が なりひびいた

ただ 黒い森にそって

雪がとがった舌のように のこり

しずくは とけて しずくとなり

渇いた 大地に 吸いこまれ

青く空高く 羊雲が

陽をあびた 群れになって 流れる

ウソの呼び声が うっとりと 潅木(やぶ)のなかにとける

人間よ きみたちもうたえ たがいに愛しあえと……

 

旺文社文庫 「ヘッセ詩集」 より

ヘルマン・ヘッセ/植村敏夫訳 

「三月」

 

 

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