12月の詩

2000年12月

 

 

かうやつて言葉すくなに坐つてゐると、

 

うつとりねむるやうな頭の中に、

 

ただ遠い世の松風ばかりが薄みどりに吹き渡ります。

 

この大きな冬のはじめの野山の中に、

 

あなたと二人静かに燃えて手を組んでゐるよろこびを、

 

下を見てゐる白いあの雲にかくすのは止しませう。

 

 

新潮文庫 「高村光太郎詩集」 より 

「樹下の二人」  部分 

 

写真は愛宕山頂、標高68メートル(680メートルにあらず)から見た福岡市遠景

 

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