7月の詩
2000年7月
見よ! 死の神は玉座をしつらえた
薄暗い西方のはるか波の底に
ひとり横たわる不思議な市(まち)に、
そこは善人と悪人と、最悪のものと最善のものと
永遠の憩いにつくところ、
そこは社(やしろ)と王宮と塔が
この世のものとはいささかも似ていない。
(年ふりながら、震えない塔よ)
あたりには、波を立てる風も落ち
空の下に死んだように
陰鬱な潮がひろがる。
エドガ-・アラン・ポー/阿部保 訳 海中の都市 より 部分
新潮文庫
写真は英国本土最南端リザド岬より西方を望む