独断と偏見によるお薦め(しない)

イギリス関係本 07年09月15日追加

◎…読んで損はない ○…なかなか良い  

△…読んでも読まなくても特に損はない  ×…やめた方が良い 

書名  著者
出版社
内容について 備考
コーンウォール

妖精とアーサー王伝説の国

井村君江

東京書籍

イギリスと日本で半々に暮らす英文学者の手になるコーンウォール薀蓄本。勿論文学方面にも詳しく、類を見ない面白さ。再読、三読は無論、資料として手元に置く価値が充分ある。
英国鉄道紀行2万キロ 宮田進

成山堂書店

著者は自称鉄道オタクオヤジ。技術畑の人間でそれなりにマニアックではあるが、読み物としてはあまり良い出来ではない。「日本のオヤジが書いた海外旅行記はつまらない(とは生易しくて実際はしばしば不快である)」との法則を再認識した本。(面白い本を書くオヤジ族さんゴメンナサイ。) ×
スコットランド「ケルト」紀行

ヘブリディーズ諸島を歩く

武部好伸

彩流社

日本では知名度が低いスコットランドの内外ヘブリディーズ諸島の旅行記。一読した時は「ちょっと俗っぽい」と思ったものだが、再読した時の方が印象が良かった。なかなか貴重な本である。
リンボウ先生ディープ・イングランドを歩く 林望 自ら「ディープ・イングランド」と命名したイングランド北部を中心とした紀行文だが、「リンボウもの」としては正直言ってつまらない部類。私がほれ込んだウィトビーの港を軽くあしらっている恨みがあるせいも知れない。だが、「英国通」リンボウも文学・歴史方面の教養は意外に乏しいことを知って妙に安堵したような騙されたような気分になる本。
秘密の花園をさがして

イギリスの庭めぐりの旅

高見澤幸子

北水

一念発起して夫婦でイギリス庭めぐり旅行をした記録だが、どの程度の年齢層を対象に書かれたのだろう。庭めぐりの本が溢れている現在に出版されるにしては物足りない内容だが、初心者には親切かも知れない。それにしても、今時手放しでこれほどイギリスを礼賛する人がいようとは。(その一方でフランスはボロクソ。)どの国にも良い人悪い人はいるんだよ、と言ってあげたい。
ビル・ブライソンのイギリス見て歩き ビル・ブライソン

古川修訳

中央公論社

イギリス人と結婚したアメリカ人が住み慣れた国を離れて帰国するにあたり、一人旅で全国を巡る。純粋な旅行記ではないし、構成も雑然としているが、慣れると面白い。軍事施設に忍び込んでつまみ出されるなど、行動パターンに何とも親近感が持てる。ユーモラスを通り越して皮肉なところも、なかなか得がたい1冊。あまり知られていない地方の記述か多いのも大いに参考になる。行く先々でケンカしてるのには笑っちゃう。
イギリスの小さな旅 出口保夫

世界文化社

ロンドンから地方まで広範囲に出ている割には、各項目の頁が短すぎることもあり、中途半端なまま終わってしまう。安楽椅子旅行者向き。むしろ旅の随想。病院の待合室などで読むには良いだろう。
頑張れ ヘリオット ジェームズ・ヘリオット

大橋吉之輔訳

文化放送

1930年代のヨークシャーの田舎町にグラスゴー生まれの新米獣医がやってきた。とろくて真面目な「私」ジェイムズ、ボスで腕ききの変人シーグフリード、その弟で陽気な怠け者トリスタンの爆笑トリオのハードで生きがいのある日々が活写されている。ヨークシャーを訪れる前に読んでおきたい。(All Creatures Great and Smallの全訳)。
ドクター・ヘリオットの素晴らしい人生 上下 
ジム・ワイト

集英社文庫
世界一有名な獣医ジェイムズ・ヘリオットの息子で同じく獣医ジムが描いた父の伝記。誠実なアルフレッド・ワイトの素顔が伝わるとともに、生涯にわたって持病の痛みに耐えながらあれだけの楽しい物語を描いた著者には頭が下がる。ただし、事実は小説よりも奇なり、の稀有の人物シーグフリード(ドナルド)の晩年はあまりに痛ましく、私はこの本を読むべきではなかったのかも、とも思う。その点少々複雑な思いを抱く本。07年9月15日
羊の博物誌 百瀬正香

日本ヴォーグ社

羊の博物図鑑とも言うべき珍しい本。精密なカラーイラストも美しく、文章も平易で読みやすい。羊の種類がわかれば田舎めぐりがより楽しくなる、という訳で面白いと思う。なんと言っても内容がユニークなのだ。
イギリスの大貴族 海保真夫

平凡社新書

イギリスで最も古いノーサンバーランド、ノーフォーク両公爵家、ダービー伯爵家の3家を取り上げた珍しい本。変に断定的で印象が悪い部分もあるが、貴重なジャンルなので加点1点。
図説 ヴィクトリア時代の田園生活誌 デイヴィッド・スーデン

山森芳郎、喜久子訳

東洋書林

文字通り、この時代の民衆の一般的な生活に関する本。でも、特に英文学に興味がない人には「どうでもよいこと」かも知れない。絵が多く、見て楽しく親しみやすいのが良い。税込3914円と高価なのが残念。
イギリス歴史の旅 高橋哲雄

朝日選書

平凡な題名の割に内容が貴重だ。3章に大きく分かれ、ピクチャレスク、カントリーハウス、近代のユートピア村の建設と少し風変りなテーマを選んでいる。特に最後のテーマは(個人的には一番興味が少ないけれど)一般向けの本としては珍しい。
二人の紅茶王

リプトンとトワイニングと…

磯淵猛

筑摩書房

紅茶研究家の紅茶を求める旅、アイルランド、英国、インドの話。両方紅茶業者の歴史にも触れる読みやすい本だが、実は個人的にやや退屈だった。私は熱心な紅茶探究物ではないということかも。(2001年3月9日)
イギリスの古城を旅する 西野博道

双葉文庫

この人の本は以前読んだことがある。その時も思ったのだが、「私と興味の対象が似ている」割には読んで面白いと思えなかった。有名な城から日本では無名の城まで、広範囲に取り扱ったのは良いが、内容が最近良くある素人ガイドと大差ない。文庫本で携帯便利な点は良い。(2001年10月18日)
イギリス聖地紀行

謎のストーンサークルを訪ねて

沢田京子

トラベルジャーナル

以前に読んで割と面白いと思ったので再読。ストーンサークルを追って、最西端コーンウォールからスコットランドの諸島まで旅する。ただ、時々イメージと言うか霊感というかに浸りこんでうっとり、というのはどうも…。さらりとして読みやすいのが良い。(2002年4月26日)
アガサ・クリスティの英国
小説の村と舘を探す旅
福光必勝 文字通りの本である。架空の地名の元となった地方をかなり詳しく検証している。難を言えば、推測でものを言い過ぎるところが多々あるが、かなり凝った本である。ただし、読むときにはかなり精密な地図がないと面白くないだろう。ひとりでハイになっているところはちょっと変だが。ちなみにポアロ関係は次回、ということだ。(2002年4月26日)

 

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